飢餓と肥満が混在する球形の大地

世界保健機構(WHO)によれば、2005年現在、世界で肥満に陥っている人は約10億人いるそうだ。地球上に人類は約63億人。その3分の2は飢えているのに、6分の1は栄養過多。先進国のみならず発展途上国にも肥満は広がっている。肥満の原因は食生活と運動不足。脂肪、塩、糖質の多い食事と、車社会などによる運動不足が原因らしい。それにしても、人類の3人に1人は飢餓の状況にあるといわれているのに、6人に1人は太りすぎとは・・・・・、食糧が偏在している。

とりわけ肥満が多いのはU.S.A.アメリカ合衆国。豊かさの象徴は、圧倒的な物質的な豊かさ。そして食生活。豊かさなのか貧しさなのか・・・、ポテトチップスとハンバーグ、ステーキとコーラ、ここにも偏在が存在する。ある説によれば、将来アメリカ人の7〜8割は病的な肥満になるとか。他人事ではない、かく言う私も、確実に体重は増えてきた。ストレス性過食症と言いながら、運動不足が大きな原因ではある。

GDP世界第2位の日本は、1億2千6百万人。人類の約2パーセントの日本人は、世界の穀物市場の約1割を輸入する。世界の森林資源の約2割、世界の海産物の約3割を輸入する国である。あるいは輸入できる国である。そして、世界で最も多く食糧を輸入しながら、世界でもっとも多く、食べ残す国だとも言われている。ホームレスの人々が糖尿病になる時代である。戦後60年、豊かになるに連れて食生活も欧米型になり、肥満は確実に増えている。そして、ここにも偏在が存在する。

偏在、これは食糧や物に限らず、情報もかかわってくる。情報が流れない。知らない。気づかない。ニュース価値にならないものは無視される。視聴率だけが基準となる世界では、真実が伝わらない。アメリカ兵の死者数と、イラク人の死者数では、比較にならないほどイラク人が亡くなっているのに、死の姿が、戦争の悲惨さが、惨めさが、世界に伝わっていかない。情報化社会と言いながら、情報は混在しながら、偏在している。この球形の大地、地球はさまざまな点で過度期を迎えている。私が最も恐れるのは、「無関心」である。