森林の文化が人類を救う

古来、人類は森の中に生息していた。いわば人類の個体数が少ない時代には、豊な森林が存在していた。我々人類は、ある人に言わせれば「森から出てきたサル」なのであり、「パンツをはいたサル」とも言われている。

森林は生物の多様性の宝庫であり、それぞれの環境において微妙なバランスの下に成り立っている。時に山火事、水害などで環境を劇的に変えながらも、その土壌には、様々な種子を置き、また無数の微生物を養し、豊な生態系を維持している。植物は二酸化炭素を吸収し酸素を吐き出す。動物は酸素を吸収し二酸化炭素を排出する。両者は補完的な立場にある。さらに植物は水分を取り込み、葉から発散し、空気を浄化する。微生物は有機質のみならず、無機質なものまで様々なものを分解し、浄化していく。古来、森の民であった人類は、森の中で生息することで、身体的にも、精神的にも、「快適」に生きてきた。マイナスイオンフィトンチッドヒノキオールなど、快適さを感じる様々な要素が、改めて認識されてきた。一方、病気を治す医薬品の要素はアマゾンやアジアの熱帯雨林の豊かな生物の多様性の中から発見されている。

文明5000年の歴史の中で、この100年、200年の間に、人類は急激に森から離れていった。現代病の多くは此処に起因する。森林での生活は、いわば地消地産である。必要なものだけを、必要な時に、必要に応じて利用してきた。大量に生産して、大量に消費し、大量に廃棄すると言うことは無かった。過激に植物の成長を促すのでは無く、植物の自然のサイクルに応じて消費し、冬に夏の果実を求めることも無く、冬には秋の果実を加工し貯蔵した。そこから知恵が発達した。海水や岩塩から塩を調達し、化学塩など思いもよらぬものだった。清浄な空気、ミネラルを含んだ豊かな水、新鮮な食物、そして森林が創出する豊かな「気」。今、U.S.A.の30歳以下の4人に1人が何らかの食物アレルギーを持っていると言う。

雑食で食物連鎖の頂点にたったパンツをはいたサルは、森の持つ豊かな生態系を破壊し、単一の作物を効率よく大量に栽培することによって、個体数を格段に増加し、火を使いこなし、内燃機関を開発し、電気を活用し、原子力さえ手にした。森から出てきたサルは、サルだけが効率よく生息できるコロニーを創出し異常繁殖を繰り返している。しかし、異常に繁殖した生物は、自らのコロニーから排出する負の要素によって、やがて破局を迎え、そして再び適正な個体数に調整されていく。人類だけがその自然の掟を無視できるとは思えない。

やがて人類は飲料水の不足に悩み、食糧の確保に苦慮するだろう。さらに自ら招いた大気汚染と温暖化という環境変化(破壊)によって、自らの危機を迎える。これを回避するためには、人類は再び森林からより多くのものを、学ばなければならない。